<総評> 佐藤モニカ
今回233編の作品が寄せられました。
どの作品も名護愛に溢れ、興味深いものばかりでした。
読みながら、頷いたり、笑ったり、喜んだり、悲しんだり……それは私たちの暮らしの
有りようにそっくりでした。全ての作品を読み終え、つくづくと名護という風光明媚な
場所で過ごす幸せを感じました。
作品の多くに、愛する家族や友人や先生などの姿が見えたことも印象的でした。中にはも
う会えなくなった人について書いた作品もありました。
私が今、この総評を書いているのはコロナ禍の真っ只中です。会いたい人に気軽に会えな
い世です。でもだからこそ、皆さんのお書きになった作品の一つ一つにたしかな重みを感
じることができました。
さて、皆さんの書かれた物語ですが、実はこれで終わりではありません。これからまだ続
きがあります。続きを書くのは他でもない、皆さんです。皆さんは、皆さんの物語の主役
を今、生きているのです。名護を舞台にまだまだ物語は続いてゆきます。この先、さらに
50年先へ向かって、名護を舞台に紡がれてゆく物語はどのようなものでしょうか。どうぞ
さらに素敵な日々をお過ごしくださいますように。そして、またいつの日か、どこかで、
私にその物語の続きを聞かせてください。
最優秀賞
一般部門 ペンネーム:月桃
「なんぐすくの祈り」
山の緑と海の青をいっぺんに独り占めできる名護岳の中腹で、
かつて黒い煙の船を、涙と白い煙で見送った先人の胸中を思う。
末永く平和な世の中でありますように。
選評:山の緑、海の青、白い煙と黒い煙、色の表現で風景がはっきりと見えてくるようである。
名護の歴史に想いを馳せながらこれからの末永い平和を願う言葉に希望を感じた。
名護市長賞
「名護・やんばる・なごむ街」
名護浦の美さ 名護岳の眺め美さ 名護城の桜の色美さ 名護人の肝美さ
美海前にして 祭りの花火みごと オリオンビール最高 名護そばとっても美味しい
名護・やんばる・なごむ街
よみ:ナグウラヌチュラサ ナグダキヌナガミチュラサ ナングシクヌサクラヌイルジュラサ
ナグンチュヌチムジュラサ チュラウミメェナチ マツリヌハナビミグトゥ
オリオンビールイチバン ナグスバイッペーマーサン
選評:島くとぅばでの読みを書き添えつつ、最高をイチバンと読んだりとユーモアも含んでいるところに
作者の人柄が伝わってくる。美という漢字が6つも入っている。
佐藤モニカ賞
「なご」
おじいちゃんがうまれて、おばあちゃんがおよめさんにきて、
おかあさんがうまれて、おとうさんとけっこんして、
わたしがうまれました。うみでおよぐのがすきです。
選評:おじいちゃんがうまれて~から長い時間が込められ家族の歴史が名護の歴史と重なる。
「わたしがおっととけっこんして、~」と永遠に続いていくであろう物語の魅力である。
名護市制50周年記念事業PR大使賞
一般部門 ペンネーム:ジョリィィイン
「どぅまんぎた 」
名護に嫁ぎ、名護市民歴3年。名護市の当たり前の日々にどぅまんぎている。
一番好きな方言でもある。都会すぎず田舎すぎず。
思っていた以上にとても住みやすい♡
選評:なごんちゅ歴3年の作者が日々驚きと共に明るく楽しく過ごしていることが読み取れる。
都会すぎず田舎すぎない住みやすい名護の魅力を表している。
こども部門優秀賞
こども部門 ペンネーム:Nayu43
「傘 」
歩いていると雨がふってきた。やんだと思って周りを見るとまだふっている。
上を見ると私をひんぷんがじまるの葉がおおっている。
ひんぷんがじまるは大きな傘だ!
選評:傘としてあらゆる災難から守ってくれるような、名護市民にとっての大きな存在である
ひんぷんがじまるを、こどもながらに体で感じた作品だと言える。
中高生部門優秀賞
中高生部門 ペンネーム:あぼかど
「桜まつり」
すずしい風の中をピンク色をしたキレイな桜が咲きほこる。
その中を大勢の人達が家族や友達と楽しく歩く桜まつり。
私は大好きな名護市と一緒に成長していきたい。
選評:年に一度の華やかな桜まつりに家族や友人と笑顔で楽しむ作者の様子が伺える。
大好きな名護市と一緒に成長したいという若者の清々しい言葉と、ピンク色の花が重なり美しい。
一般部門優秀賞
一般部門 ペンネーム:やぶっ子
「オバァの天気予報」
「あい、明日は雨ふるさー」オバァの天気予報はよく当たる。
遠足の前の日はオバァ予報士の「大丈夫、晴れる」の声に安心した。
予報の根拠は嘉津宇岳にかかる雲。
選評:お年寄りの知恵に育てられた感性が引き継がれていく様子が見える。
天気のみならず「大丈夫、晴れる」というオバァの声に安心感と希望を感じることができる。
シニア部門優秀賞 2作
シニア部門 ペンネーム:だいじょうN
「ヒートどーっ」
町に響く鐘。太鼓。緑に抱かれた名護湾に迷い来し鯨の群。
サバニの海人と格闘、海を赤く染め、射止めた黒い巨体が浜辺に並ぶ。
かつての名護の風物なりき。
選評:名護の風物詩であるヒートゥ狩りの浜辺の熱狂が伝わってくる。
鐘や太鼓の音までも聞こえてくるようである。
シニア部門 ペンネーム:新(あらた)・サッチー
「山原帰りの楽しみ」
山原の亡父の家の片付けに妹と何度も名護を通った。
帰りはいつもA&Wでルートビアフロートを飲むのが楽しみの一つ。
名護湾の夕陽を浴び大声で父を呼んでみた。
選評:シニア姉妹が亡き父の片付けに寂しさを感じつつ、A&Wルートビアフロートを楽しむ姿。
夕陽を浴び名を呼ぶ名護湾に父を重ね、姉妹が抱かれているように思う。
劇団ビーチロック賞
シニア部門 ペンネーム:とうだーがー・なぐ
「遠い国」
名護岳から朝日が昇り嘉津宇岳に向う。
白い砂の名護湾にたつ幼い僕は正面の恩納岳を眺め、目で海を渡り、
遠くの入道雲に乗っかって、よその国を覗いて遊でいた。
選評:シニアの作者が幼い頃はネットや移動手段がさほど無いと思われるが、山や海、朝日夕陽に包まれる少年。
入道雲に乗っかってよその国を覗いて遊ぶという夢みる姿が美しい。
絵本屋Polaris賞
こども部門 ペンネーム:れんと
「おとうさんとぼく」
おとうとがうまれたよ♡ぼくのお父さんもなごにうまれた。
おとうさんが、なごしを、もっと明るくしたい!って言ってたよ。
おかあさん、ありがとうね。
選評:弟がうまれた喜びと、お父さんの言葉をしっかり心にとめている。
お母さんへの感謝が素直で、家族愛がそのまま名護愛となっていく様子が見える。